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目次
※要注意!【製薬MR 内資 準大手】近未来の予測 (協和キリン/大塚/住友/塩野義)
MR志望の就活生の方へ
☑将来性がいい感じの製薬会社ってドコ?
☑あの会社の将来性が気になる~
【本日の内容】
内資系準大手の近未来について
・協和キリン
・大塚製薬
・大日本住友(住友ファーマ)
・塩野義製薬
現役MRから見たオススメの会社、ちょっと微妙だな~って思う会社も挙げていきます
☝動画のほうが良い方はこちら↓
協和キリンMR 近未来の将来性
最近まで協和発酵キリンでしたね。
2019年に発酵が取れて、協和キリンになりました。
協和キリンの近未来 一言でいうと『けっこういい感じ』
まずは、中心となる薬はクリースビータ(低リン血症治療薬)
協和キリンのまさに屋台骨です。
2021年の売り上げは850億円
2022年の目標はなんと1150億円
ついに協和キリン初の1000億円商品が登場か!?って言われていますね。
そして、このクリースビータは協和キリンお得意の抗体製剤。
協和キリンはこの抗体製造の技術が優れていると言われています。
クリースビータ:ヒト型抗FGF23モノクローナル抗体
今の治療の中心は抗体の薬です。
余談ですが、みなさん世界で一番売れてる薬ってご存じでしょうか?
世界で一番売れているはヒュミラ(米アッヴィの抗TNFα抗体)です。
世界で3兆円売れている怪物。
ヒュミラが3兆円売れているから、この協和キリンのクリースビータも売れるっていうわけでは全くないんですが
世界の治療の中心は完全に抗体製剤っていう流れです。
ヒュミラは日本だとエーザイが販売していて、エーザイのイメージが強いんですが製造元はアッヴィです。
実際にヒュミラしかり抗体製剤を日本の会社が作っていないケースが多かったりします。
じつは抗体医薬のしっかりした製造基盤をもつ企業の代表格が、中外製薬と協和キリンです。
ご存じのとおり中外製薬は、コロナ治療の抗体カクテル療法やアクテムラなど、抗体関連の薬でかなりの売り上げを稼いでいます。
協和キリンもクリースビータをはじめ、中外製薬のようなヒット作を作れる可能性を秘めていますね。
協和キリン クリースビータの次の薬は??
そして、協和キリンの近未来を占ううえでは「クリースビータの次」が大事。
その一番手がアトピー性皮膚炎の薬「KH4083」
アムジェンっていうアメリカの大手の製薬会社と共同開発しています。
アムジェンって聞いてピーンとくるかたもいると思います。
協和キリンも抗体製造の技術が高いと言われていますが、同じくアムジェンも抗体製造の技術が高い会社。
この2社がタッグを組むことで高品質な抗体製剤ができることが予想されますね。
去年(2021年10月)にEUの皮膚科学会で第2層試験の結果が発表されて「良好なデータだった」とのこと。
まだ発売までは数年かかりそうですが、今後期待できる状態ですね。
両方ともヒト型抗体です
・クリースビータ
ヒト型抗FGF23モノクローナル抗体
ブロスマブ(遺伝子組換え)製剤
・KH4083(アトピー性皮膚炎)
ヒト型抗OX40モノクローナル抗体
クリースビータと『KH4083』は両方ともヒト型抗体です。
だから何?って感じだと思うんですが。
これはヒトのたんぱく質で出来ているっていうことですね。
医薬品としての抗体には、マウス抗体、マウスと人の合体キメラ抗体、もっとヒトの割合が増えたヒト化抗体、完全ヒト抗体があります。
マウス抗体はマウスのたんぱく質であるため
ヒトの体内に入ると異物と認識されてアレルギー反応を起こしたり、効果が弱まったりします。
右に進むほど、ヒトの割合が大きくなっていって、アレルギーとか少なくなるというわけです。
だから、できるだけ完全なヒト抗体を作ろうとします。
クリースビータ、KH4083は両方とも完全ヒト型抗体です。
一番品質として高い部類に入るっていうことですね。
そして、協和キリンは「完全ヒト抗体作製技術」を持っています。
これが強力な武器になっていくわけです。
それと、こういった高い技術で作られる抗体製剤は
飲み薬に比べてジェネリック(後発品)がでてきにくいと言われます。
高い技術が必要とされますし、製造コストもかかるので安価なジェネリックには向かないビジネスなのかもしれません。
協和キリンの近未来について
・近未来は「結構いい感じ」
・これからクリースビータが1000億円以上稼げるようになり、協和キリン初の1000億円、いわゆるブロックバスター登場かと言われています
・それと高い抗体製造技術をもっています(次のエース候補のKH4083を生み出した)
高い技術は日本企業のなかではまだまだ差別化できるレベルですね
大塚製薬MR 近未来の将来性
大塚製薬の近未来 ひとことでいうと『これから4~5年にかけては安泰』
不安があるとしたら、今の売り上げを支える薬の特許が切れてくる2026~2027年あたり。
好調を支えるトップ4 (グローバル売り上げ)
・エビリファイメンテナ(1200億円)
・レキサルティ(1000億円)
・ロンサーフ(400億円)
・サムスカ/ジンアーク(1600億円)
⇒大塚製薬は2026~27年までは安泰
うち3つは売り上げ1000億円以上、いわゆるブロックバスターですね。
一番古いのがサムスカ。これは2022~23年に特許切れを迎えそうです。
ただ、ひとつだけ心配な点を紹介しておくと・・・
トップ4はすべて低分子化合物
⇒特許が切れた瞬間にジェネリックが参入してくる可能性大
さきほどの協和キリンのところで「抗体の薬(高分子)は技術的にもジェネリックがでてきにくい」とご紹介しました。
大塚製薬のトップ4はすべて普通の飲み薬(低分子化合物)
ざっくりいうと、後発品メーカーにもカンタンにマネされてしまう薬。
特許が切れた瞬間ジェネリックが参入してくるでしょうね。
大塚製薬 次の大型新薬候補は?
片頭痛治療薬「アジョビ」ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤
*テバファーマスーティカル・インダストリー社より導入
一瞬だけさっきの話にもどりますが
協和キリンの技術で作ったのが完全ヒト型。
そして、大塚がヒト化です。
やっぱ自前で作ってる高品質な抗体製剤を作っている協和キリンは強いなって思ってしまいますね。
ちなみに、アジョビが参入している、この片頭痛市場は2021年に大盛り上がりしています。
4月イーライリリー/第一三共「エムガルディ」発売
8月アムジェン「アイモビーグ」発売
8月大塚製薬「アジョビ」発売
片頭痛の治療薬はしばらく新薬がなかったんですが、
8月に20年ぶりに待望の新薬がでてきたかと思えば、立て続けに3つも発売になり、一気に戦いが過熱です。
大塚製薬の「アジョビ」ですが、エムガルディに遅れを取って発売。
新薬ではこの4カ月の遅れがけっこう影響してきます。
すでに、新薬を待っていた患者さんの多くはエムガルディを開始してしまっていますからね。
ただ大塚の「アジョビ」にはエムガルディを超えられようなメリットがあります。
それが3カ月に1回の注射でOKってこと。
一方で、エムガルディは月1回の注射。
働いてる世代は「月に1回も病院にいくのはムリ!」っていう人も多いですよね。
それに中枢神経系の薬だと、これまでにエビリファイ、そして2018年発売のレキサルティとか
大型の薬を育ててきた実績があります。
もちろんドクターとの関係性もすでに築いているでしょうね。
大変な三つ巴の戦いなんですが、割と有利に戦えそうなイメージはありますよね。
というわけで、大塚製薬の近未来についてまとめます
・トップ4健在な2026~27年までは安泰な時期が続く。
製薬会社のなかでは恵まれているほうですね。
ただ、しいて弱点を挙げるならトップ4が全て低分子なのは気になります。
・次世代を担う片頭痛薬「アジョビ」。市場は競争激化だが、競合に勝てそうな要素も!
大日本住友製薬MR 近未来の将来性
大日本住友の近未来 ひとことでいうと『これから正念場!』
今年(2022年)4月に大日本住友製薬から『住友ファーマ』へ社名変更する予定ですね。
社名を変えて、社員一同、心機一転がんばっていこう!とい感じでしょうか。
まずは、近未来の大イベントが「ラツーダ」の北米での特許切れ
ラツーダは売上2000億円、大日本住友の売上の4割をたたき出す まさに大黒柱です。
低分子であり、普通の「錠剤の飲み薬」です。しかも場所は北米。
ジェネリックがでたら、売り上げは吹き飛ぶでしょうね。
アメリカだと日本よりも劇的にジェネリックに切り替わっていきますからね。
デッドラインは2023年の2月です。
もちろん会社もデッドラインは分かっているので、なんとかしようとしています。
ようはラツーダの特許切れはどうしようもないんで、次の薬が育っているかどうかが重要ですよね。
ラツーダの次は?
そこで、2つの大型新薬(候補)をゲットしています。
・オルゴビクス(前立腺がん)
・ジェムテサ(過活動膀胱)
ゲットということで、自社の開発品ではありません。
オルゴビクス(前立腺がん)
・前立腺がんのホルモン治療薬で初めての飲み薬
・ピーク時の売り上げ予測1000億円
・2021年10月発表で売上32億円(発売1月)
発売1月なんで、10カ月間なんでまだまだ何ともいえませんね。まだまだ芽がでたばかり。
ジェムテサ(過活動膀胱)
・日本では「ベオーバ」という名前で、杏林製薬が発売して実績あり
(ベオーバはドクターからはけっこう好評で売れていたんですが、長期間の供給不足に陥ってしまい、自爆している薬)
・売上予測 500~1000億円
・2021年10月発表で売上21億円(発売4月)
こっちも発売から半年での売り上げなんで、まだまだ芽が出たところで何ともいえませんね。
この2つ小さな芽でラツーダという大木がなくなるショックを補っていく感じなんですが
まだまだ芽が出たばかりで何とも言えません。
とはいえ、ラツーダの卒業は来年2023年の3月。
このあたりの芽が育ってくるまではしばらく冬の時代かもしれませんね。
というわけで、大日本住友の近未来です
・2023年 ついに大黒柱のラツーダを失う
・海外では大型新薬に成長する可能性のある芽を複数もってる
*でもこれらは日本のMRが扱う薬ではないので注意
塩野義製薬MR 近未来の将来性
塩野義製薬の近未来 ひとことでいうと『コロナ治療薬に期待しすぎは禁物』
2022年の2月新規のコロナ治療薬、しかも注射じゃなくて飲み薬ってことで話題になっています。
出典:2022年2月7日YAHOOニュース
これがきっかけで知名度も上がってます。
就活生のかたにも人気が上がってきている感じです。
ただし、肝心のMRが長期的に扱っていく薬については、コロナ以外あんまりいい感じではありません。
塩野義製薬の主力製品
・サインバルタ:既に特許切れ
・インチュニブ(ADHD 新薬)
・ゾフルーザ:売り上げ激減
・クレストール:既に特許切れ
・イルベタン:既に特許切れ
海外での売り上げを含め、会社の業績自体はいい感じではあるのですが、国内のMRとしては売るべき商品がない状況です。
主力品だった「サインバルタ(抗うつ薬)」にも2021年ついに後発品が登場。
主力品として頑張っているのは、インチュニブくらい。
注意欠陥・多動性障害の薬ですね。
いわゆる「新薬」と言われるのは、これくらいでしょうか?
また、最近ショックだったのは「ゾフルーザ(インフルエンザ薬)」。
インフルエンザの『特効薬』として発売。一時は品切れになるくらいに急速に売れました。
でも、耐性ウイルス(今話題の変異株みたいな感じですね)の問題によって、売り上げは急落していきました。
当初の売り上げが90%くらいダウンする大打撃をうけています。
塩野義 業績が好調なのはナゼ?
新薬はイマイチな状況なのに塩野義さんの業績はいい感じ。
その理由は、別に収益の柱を持っているからです。
それが「HIV薬」の海外メーカーへの導出です。
海外メーカー(viivっていうマイナーな会社)とライセンス契約を結んでます。
そこからの利益がいまの塩野義のメイン収益です。
売上はなんと1200億円。
なんと塩野義の売上の半分です。
いうまでもないですが、コレは国内のMRの活動とは関係ありませんね~
ただここに関しては最近また良いことがあって
①塩野義が出資するViiV社が、さらに新薬を出してFDAから承認取得された
HIV感染に対する 2か月に1回投与の維持療法を新発売
②ViiV社が特許訴訟で争っていたギリアドに勝訴
こんな感じで良いニュースが入ってきています。
塩野義の収入の柱は安泰かもしれませんね。
というわけで、塩野義製薬の近未来です。
・コロナ治療薬は伸びそうだけど期待しすぎは禁物
・そのほかの新薬は「インチュニブ」くらい・・近未来はあまり期待できない
・経営的にはライセンス収入で◎
現役MRから見たオススメ度
まとめ
オススメ!:協和キリン、大塚製薬
普通:塩野義製薬
微妙:大日本住友(住友ファーマ)
今日は準大手の近未来について考えていきました。
(会社の10年後の将来性とか誰にもわかりませんが、あえて数年後を考えてみました)
オススメな会社は協和キリンと大塚製薬。
・抗体製造の高い技術をもつ協和キリン
・今現時点で4ついい薬もってる大塚。やっぱり今がいいと魅力感じますよね。
そして普通が塩野義。
新型コロナ以外の部分は日本のMRとしては寂しいですが、会社の業績はバッチリ
最後に、微妙なのが住友。
ラツーダの後の薬育ててますが、外国での話です。日本でのいい話がでてきません。