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【武田薬品の今後の見通しは?】決算内容から将来性や株価を予想! 結論:将来性に不安あり!?
こんにちは。
製薬会社勤務11年のけいとです。
2023年5月に発表された武田薬品の決算内容から、今後の見通しについてみていきましょう!
企業分析や将来性の予測にお役立てください!
【本日の内容】
①2022年は順調!? 武田薬品共の現状
②将来性に不安あり!? 2023年以降の武田薬品の見通し
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①武田薬品の現状 2022年は底地力を見せつけた
✓2022年度 売上は4兆円を突破!
まずは2023年の5月に発表された武田薬品の決算概要から。
売上は初めての4兆円突破!
じつはタケダは2022年度に少し売上おちるんじゃないか?って予想されていたんですが、みごとに4兆円を突破!
武田薬品の底力を見せつけました。
✓なぜ売上が伸びたのか? ⇒主力品が好調だったから
それでは、なんで武田薬品は心配されつつも売上が伸びたのか?これについて見ていきましょう。
結論としては、2つの主力品がかなり好調だったから。
▼武田薬品の“屋台骨” エンタイビオ(潰瘍性大腸炎治療薬)
売上は約7,020億円ととんでもなく売れている薬!
しかも、びっくりすることに売上はまだまだ伸びていきます(2022年は前年比15%アップ!)。
タケダのトータル売上4兆円の17 %を占める、まさに大黒柱!
▼武田薬品の主力品 ビバンセ(ADHD治療薬)
売上 約4,600億円と、こちらもめちゃくちゃな売上の薬。
一般的に売上1,000億円をこえたら”ブロックバスター”と呼ばれたりしますが、 はるかに上回っていますね。
2022年度は、前年比18%アップで売上は伸びました。
とはいえ、ビバンセに関しては、もうすぐ特許が切れてしまうのは心配のタネですね。
こんな感じで、『エンタイビオ』と『ビバンセ』の2つが売上を引っ張りました。
じつは武田薬品は、ここ数年、主力以外の事業を売却。
アリナミンで有名な大衆薬事業や糖尿病薬の部門も売ってしまいました。
その影響で「2022年度はタケダの売上おちるんじゃないの?」って予想もされたんですが、『エンタイビオ』と『ビバンセ』の2トップでカンペキにカバーしたわけですね。
ちなみに、なぜ武田薬品が事業を売却してるのかっていうと
膨大な借金があるから。
武田薬品は2019年1月にシャイアー社を買収。
買収額は6.2兆円!
日本史上最大!世界の製薬業界でも史上トップ10に入る超大型買収案件でした。
そのおかげで武田薬品は製薬業界で”もっとも借金が多い会社”になりました。
手元資金(ネットキャッシュ)はマイナス3兆円。
こんな感じで、すべての製薬会社のなかでダントツですね。
ネットキャッシュっていうのは、企業が自由に使えるお金のことです。
※厳密には借金ではないですが、わかりやすくするために。
ようするに、武田薬品は自由に使えるお金がマイナス(=返済義務のある借り入れが多い)という状況みたいです。
長くなってしまいましたが、こんな経緯があって、ここ数年タケダは事業売却をしてるわけですね。
というわけで、ここで前半部分「武田薬品の現状」の振り返り。
▼前半のまとめ
2022年度は『底力を見せつけた』
・売上は初の4兆円!
・事業売却の影響で売上減少が見込まれたが「エンタイビオ」「ビバンセ」の伸びでカンペキにカバー
それでは、ここから武田薬品の将来についてみていきましょう。
②将来性に不安あり!? 2023年以降の武田薬品の見通しは?
結論、ひとことでいうと、2023年は売上減少・・・その後も低空飛行が続く可能性・・・
✓2023年の業績予想は?
まずは2023年 業績予想から。
売上はすこし落ちて3兆8,400億円。営業利益もここ数年からみると下がってしまう見込み。
そんでもって、悲報です(笑)
利益率ですが、2019年のシャイアーの大型買収以来、久しぶりのひとケタ予想。
2023年はちょっと厳しい一年になりそうですね。
✓2023年 タケダの試練 3連発
なぜ2023年に武田薬品の売上や利益率が下がるのか??
それは、おおきな試練が3つも訪れるからです。
2023年の試練 その① ビバンセのアメリカでの特許切れ!
2023年の試練! その② 日本での「アジルバ(降圧薬)」特許切れ!
2023年の試練! その③ コロナワクチン 政府購入の終了!
金額的にいちばん大きなインパクトがあるのは「その① ビバンセ アメリカでの特許切れ」
※ちなみに、ビバンセの特許切れは2023年の8月。
なので、2023年中でのダメージは部分的ですが、完全に特許切れの1年間がはじまる2024年以降から怖いですね。
「その② 日本での「アジルバ(降圧薬)」特許切れ」に関して。
高血圧の薬なので、タケダ社内的にはあまり重視してなさそうですが、じつはアジルバは日本だけで885億円も売れている薬!地味に日本で7番目に売れている薬なんですね。
その③ コロナワクチン 政府購入の終了!
コロナワクチン 政府購入の終了するので、売上580億円が激減の見込み・・・
とはいえ、これはタケダとしても想定の範囲でしょうか。
✓2023年以降に武田薬品を支える薬は??
なんだか2023年はあまり良くない武田薬品ですが
「2023年以降、タケダはどうなっていくの??」これ気になりますよね。
というわけで、少し先の将来をみていきましょう。
まずは、武田薬品の“屋台骨”エンタイビオ(潰瘍性大腸炎治療薬)
2023年以降もまだ伸びる!!ここからさらに前年15%アップの見込みだそうです。
さらに、特許期間も2032年まで続く(2018年発売なのに!)ので、ここは相当安心できます。
さすが天下の武田薬品の大黒柱ですねw
※意見が分かれるところ シャイアー買収の真価が問われる『希少疾患』
タケダはシャイアー買収で、いっきに希少疾患領域を大幅に強化しました。
おかげで、新薬の数だけみると外資系大手にも引けをとらない、超充実のラインナップです。
※製薬会社の将来性に大きく関わる新薬の数はこちらの記事で紹介しています。
このように新薬数が多いので、たとえば20代から30歳代半ばくらいのひとが転職する先としては、かなり適してるでしょう。
国内製薬トップのブランド力があり、かつ『タケダのたくさんの希少疾患薬』を担当できるとMRとしての市場価値は爆上がりしそうです。
『希少疾患』などの専門MRを目指して転職するならMR専門の転職エージェント『MR BiZ』を使いましょう。
適当な案件ではなく、MRとして専門性という”手に職がつく”転職をするなら、専門家に相談するのが手っ取り早いです。
一方で、武田薬品の業績面に注目すると、
希少疾患の新薬数は充実してるものの、売上が爆上がりする”超大型化”が期待できる希少疾患薬も見当たらない・・・
これはタケダの弱点ともいえるところかもしれません。
根拠として、2028年 世界の希少疾患 売上トップ10の薬を貼っておきます。
未来のことは誰にも分かりませんが、いまのところトップ入りしてる武田の希少疾患薬はないようです。
というわけで、繰り返しですが、
▼武田薬品の2023年以降の見通し
2023年は売上減少・・・その後も低空飛行が続く可能性・・・
YouTube動画のほうがもっと詳しく解説していますので、気になるかたはご覧くださいませ。
※補足ですが、配当金に関して。
2023年度 1株当たり188円の配当予定
これまで、2009年からず~っと安定の180円配当を貫いてきた武田薬品ですが、ここにきての増配予定。
2019年の大型買収以来、2023年は久しぶりの利益率ひとケタが予想されるなかで、がんばってくれるみたいですよw
まとめ【武田薬品の今後の見通しは?】決算内容から将来性や株価を予想! 結論:将来性に不安あり!?
現状
▼2022年度、売上は初の4兆円!
▼事業売却の影響で売上減少が見込まれましたが「エンタイビオ」「ビバンセ」の伸びでカンペキにカバー
2023年以降の見込み
▼2023年度は売上減少、そのあとも低空飛行がつづく?
▼とくに2023年は「ビバンセ」「アジルバ」「コロナワクチン」の3つの試練が連続して訪れます・・
▼大黒柱「エンタイビオ」は2032年まで安泰。一方で、希少疾患での超大型新薬は現時点では無さそう
▼2023年度 久々の利益率ひとケタ転落の可能性。でも増配予定!
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新しい創薬技術や最近の流れを踏まえた製薬会社での職種が紹介されており、ぼくも参考にさせてもらっています。