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絶対避けるべき!新薬パイプラインと決算で見る危険な製薬会社3選 【結論:田辺三菱/杏林/帝人ファーマ】
こんにちは。
製薬会社勤務11年のけいとです。
”就職先や投資先として危ない会社”を独断と偏見でご紹介していきます。
【本日の内容】
『新薬パイプライン』と『決算内容』で見る危険な製薬会社3選
本日は”避けるべき会社”を取り上げます。
その判断基準は、下記のとおりです
▼将来性があぶない会社の定義
①現時点でやばい ⇒売上/利益/利益率の数値が悪い。これは決算内容から判断。
②将来やばい ⇒主力品の特許切れや新薬数
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結論から。新薬パイプラインと決算で見る危険な製薬会社3選
▼田辺三菱製薬
・22年決算はジレニアの“一過性“ロイヤリティ収入で黒字
・23年度は売上27%ダウンの見込み
・コロナワクチン撤退で480億円損失
・新薬数は2コ* 2026年までは厳しい状況が続く
▼杏林製薬
・利益率4%台。2年連続のワースト!
・主力品ベオーバは成長機会を逃す。その他100億円越えの主力品も伸びも期待できない
・新薬数はわずか1コ*
▼帝人ファーマ
・23年度の見通し 売上34%減少
・全体の57%を稼ぐ大黒柱「フェブリク」に後発品参入。
・期待の新薬「オスタバロ(骨粗しょう症薬)」まさかの発売遅延
・新薬数、まさかの0コ*
上記の会社で働かれている方は、別の会社に移る可能性も考えて、選択肢はもっておいたほうがよさそうです。
オンコロジー(がん領域専任)MRなどの、良質なMR案件を紹介してくれるのは、MR専門の転職エージェント『MR BiZ』です。
どんな選択肢があるか知ってるだけでも安心感につながるので、早めにエージェントへ相談されることをオススメします。
それでは、1社ずつ細かくみていきましょう。
田辺三菱 22年は”見かけ上”は好調。23年以降に試練が・・・
✓22年度 ”見かけ”だけ好調。売上高は 38.8%増!
増益要因は、ジレニア(多発性硬化症)の”一時的”なロイヤリティ収入
1488億円の増益のうち、じつは1200億円以上は、このロイヤリティ収入。
でも、なぜ一時的な収入が入ってきたのか?
ノバルティスが支払いを渋っていたロイヤリティ収入を、2022年に数年分を一気に受け取ったからです。
あたりまえですが、この先もずっと続く収入じゃないですね。。
✓今後の売上の種になる新薬の状況は?
日本で発売予定の新薬数2コ* (*PhaseⅢと申請段階のものだけ抜粋)
この2コという数ですが、製薬内では同率20位で“やや厳しい”状況です。
製薬会社全体の新薬の数が知りたいひとは【製薬会社35社の真実】「新薬数」から見る将来性ランキング 2023年下半期 最新版 をご覧ください。
シンプルに個数が少ない というもの問題なんですが、その中身も微妙です。
2つのうち、大型化が期待されてるのはパーキンソン病の新薬「ND0612」
こちらは2020年あたりに一度開発遅延を発表。
本来なら、もっと早く発売までいけたんじゃないの??っていう疑問が残ります。
結局、田辺三菱の純粋な新薬(適応拡大を除く)の発売は25年まで予定なし!
ND0612が早く発売できていれば!という状況。
この計画見てるかぎり、2026年にようやく新薬増えてくるようです。
2026年以降に少しずつ持ち直してきそうですが、それまで厳しし状況が続きそうです。
✓さらに痛手はコロナワクチンの開発断念
田辺三菱は悪いニュースが続きます。
23年2月 コロナワクチン開発を断念⇒損失480億円
正直、22年決算は「ジレニア一時金」がなかったら相当やばかったんじゃない・・・
そんな印象が残りますね。
ちなみに、田辺三菱の2024年売上予測は??
前年27.4%ダウン 3,890億円
3割ちかくも売上ダウンする見込みになっていて、2024年以降もきびしい状況となりそうです。
杏林製薬 2年連続の利益率ワースト
杏林製薬は継続して、利益率が低いです。
2022年:ワースト1位 4.7%
2023年:ワースト1位 4.5%
※ちなみに、一般的な製薬会社の利益率は?約14~15%
ちなみにワーストというのは、”あるていど規模が大きい先発品メーカー”のなかでワーストということです。
後発品メーカーなどは含んでおらず。
いわゆる皆さんが”就活や転職でのターゲットになる会社”に限っての話です。
✓杏林製薬の将来性が厳しい理由は??
以下の2点でしょう。
①売り上げの柱が”古い薬”であること
②これからを担う新薬が1つだけ
①売り上げの柱が”古い薬”であること
杏林はどんな薬を売っているのか?
こちらの表をご覧ください。
いまの売れ筋商品は、過活動膀胱薬「ベオーバ」
それ以外が赤枠の部分。
とくに140億円のペンタサは、かなり”古い薬”。
これからの伸びは期待できません。
②これからを担う新薬が1つだけ
間質性肺炎という、ちょっと珍しい肺の病気に関する新薬がひとつ。
ファーストインクラスであり、悪くはないですが、大きな売上は期待できないので正直きびしいです。
ちなみに、新薬数1コという数字ですが
⇒製薬内では同率29位。やはり“かなり厳しい”と言えます。
帝人ファーマ 主力品の世代交代が上手くいかず・・・
帝人が厳しい理由はこちら。
・全体の57%を稼ぐ大黒柱「フェブリク」に後発品参入。
・期待の新薬「オスタバロ(骨粗しょう症薬)」まさかの発売遅延
・新薬数、まさかの0コ*
✓大黒柱「フェブリク」に後発品参入
フェブリク(高尿酸血症薬)
帝人ファーマの総売上252億円の57%を稼いでいました。
22年6月に、特許切れで、後発品が参入しています。。
下の表を見てもらうと、フェブリク以外は”小粒”であることが分かります。
たしかに、フェブリク特許切れは厳しいけど、
製薬各社である以上、特許切れからは避けられないんじゃないの??
たしかに、その通りです!!
ホントの問題はここから。
フェブリクにかわる新エースへの世代交代が上手くいかなかったこと。
✓珍事件。新薬「オスタバロ(骨粗しょう症薬)」の発売遅延
「オスタバロ」はフェブリクの次のエース候補
本来は21年に発売予定・・・
世代交代は上手くいくはずでした・・・
21年3月、帝人ファーマ「オスタバロ28日分」を発売準備。
⇩
新薬の長期処方制限(14日制限)*に抵触
⇩
結局、オスタバロの発売は23年1月まで遅れることに・・・
*新薬は、新発売から最初の1年は2週間分しか処方できないルールになってます。安全性がまだ十分確認できてないので。
あたりまえですが、14日制限のルールは製薬各社分かっていて新薬を作ります。
オスタバロは自己注射の薬なので、ここには抵触しないと考えていたようです。
結局、これが失敗につながり、帝人は28日分ではなく14日分の製剤を作りなおします。
約2年間をムダにしちゃったわけですね。。
✓新薬数はまさかの0コ
帝人ファーマは、今は新薬パイプラインを公表をしていないため詳細は不明(以前までは公表されていました)
ですが、確認できる範囲で臨床試験がPⅢ(最終段階)まで進んでいるものはないです。
まとめ 新薬パイプラインと決算で見る危険な製薬会社3選
というわけで、結論をもう一度振り返ります。
とくに帝人ファーマに関しては「収益性改善に向けた改革」を行っていて、過渡期に入ってます。
新薬とは別方向(薬の開発製造受託)の方向に舵を切っているので
新薬メーカーで働きたい就活生や現役MRの方の転職先にもおすすめできないです。
ぜひご注意ください!
▼田辺三菱製薬
・22年決算はジレニアの“一過性“ロイヤリティ収入で黒字
・23年度は売上27%ダウンの見込み
・コロナワクチン撤退で480億円損失
・新薬数は2コ* 2026年までは厳しい状況が続く
▼杏林製薬
・利益率4%台。2年連続のワースト!
・主力品ベオーバは成長機会を逃す。その他100億円越えの主力品も伸びも期待できない
・新薬数はわずか1コ*
▼帝人ファーマ
・23年度の見通し 売上34%減少
・全体の57%を稼ぐ大黒柱「フェブリク」に後発品参入。
・期待の新薬「オスタバロ(骨粗しょう症薬)」まさかの発売遅延
・新薬数、まさかの0コ*
記事内では紹介できなかった点は、YouTubeで詳しく解説しています。
ぜひここまで読んでいただいた方は、知識整理のためご覧ください!